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基礎知識

フェレットの適正飼育温度【気温と湿度の関係】熱中症になるのはどんな時?やってはいけない応急処置とは?

まずはじめに、フェレットという生き物は「毛皮を着ている」という事は頭に入れておいて下さい。

そして、「体温調節は出来ない生き物なのだ」と思って頂いて結構です。

この子達も一応、恒温動物(コウオンドウブツ)というカテゴリー内に属してはいるので、その定義からすると「体温調節機構が発達し、気候変動でも安定的に生活できる」事にはなるはずではありますが、これといって特別に有効な体熱放散方法を持っていないのです。

特別に有効な体熱放散方法とは?

例えば

  • 人間なら汗をかく
  • 犬なら口を開けてハアハアと舌をだして呼吸する

汗をかかないフェレット達は

  • 浅速呼吸をして呼気から放熱したり、毛細血管から多少の放熱

明らかに、この子達のそれは「ただの放熱」です。

後述しますが、この子達が「ハアハア」と呼吸をしていたら、それはすでに熱中症を起こしている状態です。

そんなこんなな全ての理由を持って、フェレットは体温調節が出来ない生き物と頭にいれておいてあげて下さいね。

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熱中症とは?

自身の体熱放散能力を超えた暑さ、その外気温に体の機能が追い付かず体温維持ができなくなって起こる、さまざまな症状を称して「熱中症」と言います。

「体温が40度を超えたら危険な状態」なのは、人間にもフェレットにも言える一つの目安とされています。

人間の平均体温が36度前後に対し、この子達の平均体温は38℃前後です。

たったの2度です。

たった2℃上昇しただけでも「危険な状態」に陥ってしまうって事を覚えておいてあげて欲しいと思います。

熱中症の症状

フェレットの熱中症の症状

  • 体温が上昇し
  • 口を開けて速くて浅い呼吸
  • 口腔粘膜や肉球が赤くなる
  • 鼻が乾く
  • ぐったりしている
  • 症状が進むと嘔吐や痙攣
  • 意識喪失から
  • 死に至ることもあります

この子達の場合も人間のそれと同じで

  • 肥満(皮下脂肪が多いと体熱を溜めやすく放熱しにくい)
  • 高齢(体温調節機能が衰えている)
  • 子供(体温調節機能が未発達)
  • 病気(循環機能や呼吸機能を患っている時は特に注意が必要)

の場合には「特に」注意が必要とされています。

そして、「気温が30℃を超えたら危険」なのは周知の事実なので、その環境(気温30℃を超す真夏の炎天下)で熱中症を起こす人はもうあまり居ません。

この子達の場合もそうです。

「真夏の炎天下でお散歩していて熱中症になりました」という話はほとんど聞いた事がありません。

熱中症になったとされる原因は「気を付けていたはず」の場所が実は一番多いのです。

熱中症を起こしやすいのは部屋の中!

まず、汗をかかないこの子達は、どんなに爽やかな風が入ってこようが、扇風機をどれだけ回そうが、風で涼をとる事は出来ません。

この子達の事を考えての環境であるのなら、網戸は脱走の原因になるだけなので、使用しない方が無難です。

フェレット飼いに「網戸の季節」はありません!!

そして、カーテンを閉めて直射日光が入らないように気を付けていたとしても、それだけでは全く意味がありません。

大切なのは「温度と湿度」です。

梅雨時期は注意!

日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針」

気温が27℃だとしても、湿度が60%なら、それはもう「熱中症の警戒レベル」だと、ハッキリこちらに出ています。

これは汗をかける(体熱を放散できる)人間の警戒レベルです。

汗をかけない(体熱の放散が上手にできない)フェレットでは「もっともっと警戒してあげなければいけない」って事なのですよ。

そんなに「暑くはない」と人間が感じているだけな場合があります。

雨の日などは特に室内の湿度に注意して「除湿」を意識して、快適に過ごさせるようにしてあげて下さいね。

車内の温度は「一気に」上がる

外気温が23℃の時、たった数十分で車内は最高48℃、ダッシュボードの上は70℃になることもあります。

ポカポカ陽気で気持ちの良い春先にも、駐車中の車内は大変な事になっているのだと、天下のJAFが実験(検証)したデータにもあります。(下記参照)

ほんの短い時間でも、ニョロリンを車内に残してどこかへ行ってはいけません。

実際に、動物病院の帰りに「ちょっとスーパーで買い物をしてただけ」で熱中症になってしまった子のお話しを聞いた事があります。

特に起こしやすい事故には特に気を付けてあげれば良いだけなのですから、きちんと万全な対策をしてあげて下さいね。

熱中症の応急処置と注意事項

フェレットが熱中症になってしまったら、できるだけ早く体温を下げてあげなければいけません。

上記(症状)のように、口を開けて浅い呼吸になっていたり、ぐったりしていたら熱中症かもしれないので、すぐに応急処置にあたって下さい!

…と言いたいところですが、心臓疾患でもそのような呼吸になります。

「ぐったり」は他の多くの病気でも見られる症状です。

さまざまな要因からその判断を見極めなければいけない、とても難しい状況なので、暑いなかにいたからというだけで安易に「ただの熱中症」だと片付けてしまう事がないよう、応急処置はあくまでも、病院へ連れて行くまでの間にしてあげられる少しの事だと思ってあげて下さい。

それで状態が少し改善したとしても、必ず病院へは連れて行ってあげなければいけません。

処置の手順・注意してあげる事

  • 出来るだけ早急に涼しい場所へ移動させてあげて下さい(部屋全体を涼しくするのはその後で良いです)

暑さでバテていた程度なら、これだけで回復します。

完全に熱中症だと思われる時には、

  • 冷たい水で冷やしたタオルをビニール袋にいれて脇や首筋に当ててあげます。
注意
  • ビショビショのタオルや、氷を直接あてがったりしてはいけません。
  • 体を濡らしてはいけないのはもちろんですが(風邪を引かせてしまったり、最悪、肺炎を引き起こしてしまいます)
  • 急に冷やしすぎると低体温になってしまう恐れもあり、それはそれでまた危険なのです。
  • 水分補給
注意
  • 自力で飲水できないような場合に、大量のお水をシリンジで無理やり飲ませるような事をしてはいけません。
  • 熱中症だからと言って、水分補給として一度に大量の水を摂取すると、かえって体内の電解質バランスを崩して体調不良を引き起こしてしまいます。
  • だからと言って、知識なく勝手な濃度の塩水を与えたりは絶対にしないで下さい。

応急処置的な意味である場合に限り、薄めた人間用のスポーツドリンクでも代用は可能です。

ですが、これも「自力で飲める場合のみ」です。

スポーツドリンクだろうが、真水だろうが、シリンジで与えなければならないほどの状態の時には必ず、獣医さんの指示に従って下さい。

獣医談

「自力で飲めるのなら真水でも大丈夫ですから、余計な事をしようとしないで、とにかく、病院へ連絡をして指示を仰ぎ、少しでも早く病院へ連れて行く事を優先してあげて下さい」

病院での治療とは?

ここまでに何度も書いてきていますが、熱中症の症状(その疑い)が出た場合、病院へは「必ず」連れて行ってあげなければダメです。

  1. 自力でお水も飲めないようなら、速やかに
  2. 体温が下がりお水も飲んで少し落ち着いたかなと思ったら、そこからなるべく速やかに
  3. その際には、「体を冷やしながら」など、獣医さんの指示を直接、電話で仰ぐ事

これは絶対です。

応急処置を施して、一時的に回復したように見えたとしても、「そう見えただけ」の場合が多いです。

治療として、徹底した補液が必要とされる場合があります。

心臓や腎臓に異常がないかを検査してもらう必要がある事もあります。

脱水状態は急性腎不全を引き起こす要因になります。

そして、もし仮に熱中症では無かった場合には、なぜそのような症状が出ていたのか、他の病気の可能性を調べる必要もあります。

熱中症はちゃんと処置しないと死に至る事がある

熱中症かと思われたフェレットが「元気になったから大丈夫だと思った」数日後に死んでしまったという症例を知っています。

死因とされたのは「急性腎不全からの多臓器不全」だろうという事でした。

「熱中症で脱水症状を起こしていたのに、一時の応急処置で治ったと思い込んで、適切な処置をしてあげなかったせいで、脱水状態から急性腎不全を引き起こしてそのまま多臓器不全で亡くなってしまった。」

「私が死なせたんだ」って言う、その飼い主さんから

「だから、くれぐれも安易な飼い主判断は絶対にダメ!必ず病院へ連れて行ってあげて下さい!!」と、この事実を多くの皆さんに伝えて欲しいと頼まれました。

熱中症は100%予防できる

色々なサイトや何かに書いてある細かい数字の違いを神経質に気にする必要はありませんが、それらの数字の幅をとると大体こんな感じです。

この子達の適正飼育環境に合わせたエアコンの設定

  • 夏場 18~24℃
  • 冬場 20~26℃

もちろん、地域によっても、飼い主さんの体質・体調によっても、設定温度は変わってきます。

変えて良いんです。

外気温との差がなんちゃらとか細かい話をしたがる人もいるようですが、「室内での熱中症を防いであげる」事において外気温との差とか関係無いです。

だから、ザックリとで良いです。

理想の室内環境

  • 室温 22~26℃前後
  • 湿度 50%前後

この範囲の中で「徹底」してあげていれば、熱中症になる事は、まずありません。

対策:エアコンの温度設定にこだわるんじゃなくて

効きの悪いポンコツエアコンで「23℃に設定」だけして、実際の室温は28℃になっていたら意味がないのですよ。

大体の適正飼育環境を知っておいてあげた上で、高温多湿の日本の夏場(一部除く)では「人間にとって少し涼しい」くらいのお部屋がこの子達には適切な環境だと知っていてあげて下さい。

×「暑くない」

○「涼しい」

対策:お散歩の時は

真夏の日中を避けるのは当然ですが、ゴールデンウィークあたりから「暑い日」が出てきたりします。

出かける時はそうでも無くても、「気温が上がる事」は常に想定してその準備をして行ってあげて下さい。

最初にも書きましたが、「たったの2℃」しか、この子達には許容範囲がありません。

汗をかかず毛皮まで着ているこの子達の体は「暑くなった」の影響を直ちに全て受けてしまいます。

キャリーバッグは

  • 短い移動でもお水は必須
  • 直射日光があたらないようにする
  • 保冷剤をいれておいてあげる

これだけは、常に徹底してあげて下さいね。

「熱中症」に関して注意してあげて欲しい事は以上です。

一緒にいる時も、離れて過ごしている時でも、いつでも、その子の事を思って、その子が快適に過ごせるようくれぐれも気にかけていてあげて下さいね。

今日のお話しの元記事はこちら『フェレットの熱中症は応急処置より、起こさせない対策を!!』です。

人間用の例なども挙げて更に詳しく色々と書いています。

お時間があります時には合わせてお読み頂けると、より参考にして頂けるんじゃないかと思います。

楽しく快適なニョロニョロ生活を♡

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