今日のアイキャッチ画像は「副腎腫瘍予備軍(グレー)」と診断された女の子の外陰部です。
すごく驚きました。
フェレットの三大疾病の1つである「副腎疾患(腫瘍)」
昔は「中~高齢のフェレットによく見られる病気で、腎臓の近くにある、副腎という左右1対の小さな器官が肥大化、及び、腫瘍化する病気」と言われていました。
写真のこの子はまだ「1歳半」です。
そんなに若いフェレットが?!と驚くと同時に、その事が公表された時、「うちもです」という声を何件も聞いた事。
そうかぁ…私が知らなかっただけなのか。
そんな若いうちから、頑張ってる子は、私が思ってたよりずっとたくさんいたんだって驚きました。
副腎疾患というのは、「治す」というより、「上手に付き合っていってあげる」病気だと私は考えています。
これは摘出手術をしてもしなくてもです。
もっと言えば、
この病気になった・ならないは関係無く
「フェレット(ファームっ子)の飼い主であるならば、その子を手にした瞬間から一生涯に渡って常に向き合っていなければいけない病気」だと私は個人的にずっとそう思っています。
たまたま、私には経験が無かっただけで、実際に、たくさんの子がそうして向き合っているのだなぁって実感しました。
副腎疾患(腫瘍)とは
『副腎』は、ホルモンの分泌を担う臓器です。
人間の図
このように腎臓のそばにあるからその名前が付いただけの事で、腎臓とは全く異なる役割を担う、腎臓とは別個の臓器です。
フェレットの副腎の位置
この子達の小さな体の中にあるそれは、小豆よりも小さい、本当に小さな小さな臓器ですが、とても重要な役割があります。
その小さな臓器は更にこのように
副腎の断面図
外側の『皮質』と、内側の『髄質』に分かれていて、このそれぞれがまた異なった役割をもっているのです。
この図は人間用ですが、構造や役割はこの子達も同じです。
内側の副腎髄質からは「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」といった「神経伝達物質」が、
外側の副腎皮質からは「ステロイドホルモン」が分泌されています。
今日のお話しのメインとなるのは、このステロイドホルモンの一種である「性ホルモン」についてです。
- 女の子は「エストロゲン」
- 男の子は「アンドロゲン」
です。
以前、「男性ホルモンはテストステロンじゃないんですか?」というご質問がありましたが、テストステロンはアンドロゲンに属する男性ホルモンの一種です。
間違いではありませんが、「この子達の性ホルモン」について話す時は一般的に「アンドロゲン」という大きな括りの方を使います。
というか、少なくても私は、「そこを細かく分ける必要がなければ大きな括りの方で話す」というだけの事です。
「副腎疾患」と言われる状態とは
副腎に過形成や腫瘍ができると細胞が異常な状態になりさまざまな問題が起こります。
「過形成」というのは、異常な細胞が増殖する『腫瘍ではないもの』=正常な細胞の増殖の事をそう言います。
この「(腫瘍を含めて)さまざまな問題が起きている」状態が「副腎疾患」と呼ばれる状態です。
要するに、それが腫瘍でもそうじゃなくても「副腎疾患」として、治療するかどうするかなどを「考えるべき状態」なのです。
副腎疾患の原因1
「原因ははっきり分かっていない」とされていますが、この子達に行われる「早すぎる不妊手術が原因」だって、これはもう周知の事実です。
良いですか?まずですね、
本来、「性ホルモン」というのは、脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンによって性腺(卵巣・精巣)と副腎皮質が刺激されることで、分泌されるものです。
この性ホルモンが多くなったりすると、今度は逆に、脳下垂体がそのホルモンの分泌を減らして「ホルモンのバランスをとる」のが通常の体の仕組みなのです。
ですが、不妊手術を受けて(=避妊去勢手術済みという意味です)から日本へ来るこの子達には、その性腺(卵巣・精巣)は、ありません。
私の思うこと
この子達が手術を受ける時期はたったの「生後数週間後」です。
体の成長はおろか、性成熟などしているはずがありません。
※フェレットの性成熟は女の子で生後約半年頃から、男の子は生後約1年半頃からです。
そんな時期に卵巣や精巣をとってしまい、性腺からの性ホルモンが分泌されないまま、脳下垂体は性腺刺激ホルモンを分泌し続けて、でも、それを受け入れる性腺(卵巣・精巣)は無いわけで、
その分だけ全部が副腎皮質に刺激を与え続け、その分だけ副腎皮質は仕事をさせられている事になるわけです。
この継続される過剰なそれらが「副腎に疾患をもたらす」原因だと考えられています(獣医師談)
ほらっ!これが原因じゃん。
何でいつまでも「はっきり分かっていない」とか言われてるんだろう…?
獣医学的な事とか販売のあれこれとか、そこには色んな大人の事情があるのかもしれませんけど、これが原因の1つにあるという事は間違いないと思うんです。
もちろん、全部がそうだという事ではありません。
きちんと適した時期を待ってから手術を受けた子だって副腎を患うことはありますし、ファームっ子が全ニョロそうなるって事でもありません。
私があまりにも「だってそうじゃん!」とこれを言い過ぎるのを見かねた、未去勢(ノーマル)飼いの知人が苦言を呈してくれました。
ココに注意
フェレットって、発情に至るまでのプロセスにかかる下垂体からのホルモン分泌の機能がやたらと強いのかなぁ、と思うんですよね (感覚的な表現で、自分でも言ってて意味分かりませんが…)。
というのも、通常は「副腎疾患にはならない」と言われている、元未手術で、一旦発情を経てから避妊・去勢をした「レイト・アルター」の子達でも、副腎疾患になったりするんですよね。うちでも過去に一頭そういう子がいました。
生殖腺が無くなっても、繁殖期になると下垂体がめちゃくちゃ頑張っちゃうので、こんなに副腎疾患になりやすいのかと。
だから、あくまでも、これが「原因の1つではないかと考えられている(私はその説を推している)」というだけで、他にも考えられる原因はあります。
副腎疾患の原因2
ちょっとここで、アメリカと、副腎疾患のフェレットがほとんどいないと言われているイギリスとでの主な飼養環境を比べてみましょう。
不妊手術 | 食事 | 飼育場所 | |
アメリカ | 早期に実施 | ペットフード | 室内 |
イギリス | 適した時期に実施または生涯しない | 生食 | 屋外 |
副腎疾患については遺伝性もあるのではないかとその可能性が指摘されています。
飼養環境が日本と似ている事からアメリカを例に出しましたが、日本にくるファームっ子のその半分以上が「アメリカ出身」だという事もここでは考慮しています。
もともと、そういう遺伝子を持つ子が多いのかもしれません。
手術については上記の通りです。
そして、食事が副腎疾患の原因になるという話はあまり聞いた事がありません。
となると、今度はこの、「お日様を浴びているか・いないか」が副腎疾患の原因の1つにあるのでは無いかと考える事が出来ます。
「性ホルモンの分泌」に日照時間との関係が密接なのは、人もこの子達も同じです。
日照時間に関係するホルモンとは
我々人間も含め『動物』は、昼夜の明暗リズムを感じ取ることで、メラトニンというホルモンが適切に分泌されます。
適切な分泌とは
日中、強い光を浴びるとメラトニンの分泌は減少し、夜、暗くなってくると分泌量が増える
事を言います。
このメラトニンには『性腺刺激ホルモン』を抑える働きがあるのです。
副腎に刺激を与え続けるあの性腺刺激ホルモンの分泌を抑えてくれるのがこの「メラトニン」なのです。
大事なことだから2回言いましたよ!
ケージを置いたリビングで、いつまでもこうこうと明かりを付けたまま夜更かしなんて言語道断
ずっと明るい環境にいては、メラトニンの分泌が異常をきたして血中濃度が低いままになってしまいます。
それでは性腺刺激ホルモンの分泌が抑えられません。
その間ずっと、副腎が刺激を受け続けているということです。
その間ずっと、性ホルモンを分泌し続けているということです。
過剰なそれらが、過形成や腫瘍などの要因となるのですよ。
そして、この時、過剰に分泌され続けるその性ホルモンが、いわゆる「副腎疾患の症状」といわれるさまざまな症状を引き起こす原因なのですよ。
副腎疾患の一般的な症状とは?
特徴的な症状として代表的なのは『脱毛』です。
こちらでも少しお話しさせて頂きましたが、正確には「発毛不全」と呼ばれる状態です。
-
フェレット 不自然に毛が抜ける理由・原因【換毛失敗か病気の見分け方】脱毛は発毛不全
フェレットの脱毛というのは、その多くがお尻(シッポの付け根辺り)から始まり、徐々に全身へ拡がっていくという場合が多いです。 突発的に首の後ろやお腹の毛など、どこか一部の毛が薄くなるような事もありますが ...
性ホルモンの影響による脱毛の特徴
「シッポの付け根から始まり、そのままシッポの先の方へ、と、お尻やわき腹の方へと「左右対称」に脱毛が拡がっていきます。」と一般的には言われていますが、脱毛の範囲や進行の速度には個体差があるし、必ずしもそうである場合ばかりでは無いように私は思っています。
この子はとても分かりやすく「その特徴通り」に脱毛が見られます。
が、私が見てきた限り、皆が皆こんな風ばかりでは無かったですし、一気に全身に広がる事もあれば、何となく薄毛かな?な状態でとどまっている事もあります。
この子は頭頂部だけ脱毛していました。
副腎疾患の症状としての脱毛では痒みを伴う事もあるそうです。
「すごくかきむしるから脱毛しちゃった」なのか「痒みを伴う脱毛なのか」は、見ているだけでは分かりませんし、これら一連のそれぞれは、病気の進行(肥大化、腫瘍化、またはその大きさ等)とは全く関係ありません。
さっきも書いたようにこれらの症状は副腎疾患の症状では無く、あくまでも、過剰分泌されている「性ホルモンの影響」なのです。
発毛不全というのは換毛期にその症状が分かりやすく出るものなので、時期がずれていたら、副腎疾患であっても「脱毛はまったく見られない」という事も多々あります。
よって、「脱毛」は副腎疾患の特徴的な症状ではあるけれど、それだけを目安にして安心していてはいけないという事は覚えておいてあげて欲しいと思います。
性ホルモンによるその他の特徴的な症状
ホルモンバランスの乱れによって「乾燥してフケが出やすい」体質の方がおられるように、この子達の中にもそういう体質の子がいます。
- フケが出る
- 皮脂の分泌が過剰になるため被毛がベタつく
- など
また、不妊手術をしているのに「性行動」が起こることがあります。
- 攻撃性が高まる
- 体臭がきつくなる
- マーキングをする
- オスがメスに求愛する
- など
女の子の場合
避妊手術を受けているのに、「発情のような状態」になります。
- 生殖器の腫大(外陰部の腫れ)
- 乳頭や乳腺の腫れ
※「肌」の部分が多すぎて、botに「Hな画像はダメです」と叱られてしまったので隠し画像に設定しますが、普通に上記の参考資料ですから安心してクリックしてご覧ください。
これら「発情のような状態」はひどくなると貧血を起こし、「エストロゲン過剰症」という、適切な処置を速やかに施してあげなければ死んでしまう病気へと至ります。
本物の「発情状態にある女の子」のお写真もこちらにありますので、見比べて頂けると良いかと思います。
男の子の場合
前立腺が腫大して尿道を圧迫し、排尿しにくくなったり尿道閉塞を起こします。
その為、常に尿漏れしているような状態になる子もいます。
脱毛のお写真で登場してくれた「ルイくん」は、おしっこの出が悪くなったそうです。
そこで、副腎疾患の治療と並行して、飼い主さんは毎日、蒸しタオルで包んでルイくんの血流が良くなるように、おしっこの出が良くなるように…と、これは獣医さんにも「ヤケドにさえ気を付けてあげれば毎日してあげて良い」と言われたそうで、
その効果もルイくんにはあった(おしっこの出が少し改善された)との事なので、是非、試してあげてみてはいかがなって思います。
これらは全て、「性ホルモン」の影響なので、男の子の乳腺が腫れるという症例もあります。
外陰部の腫れがまったく見られなかった女の子もいるそうです。
また脂肪が厚くなるのか皮膚自体が厚く(硬く)なるのかは分かりませんが、首の後ろや脇の下あたりの手触りが変わる事もあります。
先に述べたように、本当に「さまざまな問題」が起きるのが、副腎疾患の特徴なのです。
副腎疾患の診断とは?検査とは?
上記のような特定的な症状(薄毛や陰部の腫れなど)が出てからだけでなく、触診、性ホルモン(ステロイドホルモン)の濃度を調べる血液検査、レントゲン検査や超音波検査などで副腎の状態を調べたりします。
他にも、他の病気とはちょっと違う「検査の仕方」があります。
ホルモン検査(血液検査)
特定の性ステロイドホルモン(エストラジオール、17αヒドロキシプロゲステロン、アンドロステネジオン、DHEA-S)の血中濃度の値を見ます。
正常値より上昇しているかどうかでの診断となりますが、この検査は検査費用が高いことと、その金額に見合うだけの確実性が保障されていないなどの問題があるとして、病院によっては(先生の考え方などで)、他の検査を勧められる場合があります。
超音波検査・レントゲン検査
「見て判断する」というこれらの診断方法では、「どちらが悪いのか」がその場ですぐに分かるという大きなメリットがあります。
これは、上図のように、右側は大きな血管に隣接していて切除しにくく、左副腎はそれに比べると比較的切除が簡単という理由から、「右側なら切りたくない(もしもが怖い)」などと言った話し合いが
獣医さんとその場で進めやすくなるという大きな利点です。
超音波検査では、副腎の大きさや厚み、血管との位置関係などを見ます。
が、「外側から見るだけ」なので、例えば、腫大(肥大化)していない「腫瘍化」している場合には、その診断は出来ません。
それはレントゲン検査でも同じです。
「相当腫大していないと分かりづらい」のは、もともとが小さい臓器なので、リンパ節などと副腎を見誤ってしまう可能性も少なからずあったりするのです。
よって、
試験開腹
上記にあげたような「検査」では、よく分からない、確定できない事が多い副腎疾患ですから、確実に調べる為に『試験開腹』となる場合があります。
これは、開腹手術をして、肉眼で実際に副腎に異常があるかどうかの確認をする「検査」です。
もちろん、その際に、異常があればそのまま摘出という流れになります。
「あの先生は副腎くらいですぐに切ろうとする」等と悪評に繋がりかねない知ったかを平気で言う人がいるそうですが、そんな言葉を鵜呑みにするのではなく、そこにはこういう事情があるという事も「正しい知識」として知っておいて下さいね。
また、
診断的治療
といって、まずは、ホルモン剤を投与して、症状が改善するかどうかの確認をする=改善されたら副腎疾患確定という診断(検査)方法もあります。
確定すれば、そのままホルモン剤の投与を継続していくという選択もできますし、後述するような外科手術を選択するという事ももちろん可能です。
これは、先生によっても違いますし、「その子の状態」によっても違います。
適した「検査方法」からして違ってきたりする事です。
どの検査がその子の症状に適しているのかは、獣医さんとよくよく話し合って、納得のいく方法を選んであげて下さい。
赤の他人の話し(ネットや何かの評判)ではなく、正しい知識をきちんと持ったうえで、飼い主であるあなたが「その子のこと」を決めてあげて下さいね。
副腎疾患の治療
「副腎疾患を治す」という治療方法はありません。
「治す」という表現に最も近い治療方法としてはやはり「副腎の摘出手術」という事になります。
この場合、副腎腫瘍と正常な副腎組織の区別がつけられないので、副腎全体を丸ごと摘出するのが通常です。
本来であれば人のそれと同様に「腫瘍の治療」というのは、「早期発見・早期摘出」が原則としてあります。
が、フェレットが「副腎腫瘍」になるまでには、
副腎皮質過形成→副腎皮質腺腫(腫瘍でも良性である場合が多い)→副腎皮質腺癌(悪性腫瘍)といったような段階があります。
※全てがこうでは無いし、また、これがその全てという事でもありません。
が、一応、これら全ての
この過程全部その1つ1つが「フェレットの副腎疾患」と言われる状態にあり、そのうち2つは「腫瘍では無い状態」です。
そしてこの進行速度は「極めてゆっくり」なので、いくら何を言われたとしても、
「腫瘍じゃない(ガン化しそうもない)なら手術はしない」という選択は、人の場合と同じように、飼い主として持っていて良いものだと私は思っています。
ただし、その場合には一生涯に渡ってのホルモンのコントロール(内科的治療)と適切な定期検診は絶対となります。
外科的治療
左右に1つずつある副腎ですが、そのどちらにも腫瘍は発生するし疾患は起こります。
もちろん、両側に発症するケースもあります。
その場合は、より状態の悪い方を摘出します。
「正常な1つの副腎があれば健康への悪影響は無い」のが副腎ですが、生命維持に欠かせないホルモン分泌の機能を維持させるためには、必ず1つは必要なのです。
上記(超音波検査)でお話しした通り、右側は後大静脈と密着していることが多いため、左側の摘出手術より難しく、より高度な外科手術の技術を要し、より慎重なそれが求められます。
だから、一言で「摘出手術」と言っても、その手術費用が違う事はあって当然です。
ちなみに、こちらの写真は「左側」にできた副腎腫瘍です。
※手術の写真です。血液などが苦手な方は閲覧をお控えください。
また、病院によっては、「左右両側の副腎腫瘍の場合には、原則的に手術不適応と判断します」として、両方をそのまま残した状態で内科的治療を開始する場合があります。
シニアで外科手術が困難な場合や、過去にすでに片側の摘出手術を行っている場合なども、選択肢は内科的治療のみとなります。
内科的治療
副腎の過形成や腫瘍を「治す」事には繋がりませんが、投薬によって、性ホルモンをコントロールすることは出来ます。
貧血や尿道閉塞などはその症状に合わせた対処療法で治療をしてあげられます。
性腺刺激ホルモンの分泌を抑制する酢酸リュープロレリンの投薬=リュープリンという皮下注射での投薬。
これによって、副腎への刺激作用が減少するので、副腎からの性ホルモンの分泌が抑制されるという仕組みです。
また、お薬としてのメラトニン投与で生理バランスをコントロールしてあげる事もできます。
これらの投薬によって、性ホルモンによって引き起こされていた「さまざまな症状」は、そのほとんどが消失します。
※脱毛については、発毛のメカニズムがあるので、次の換毛期まで待たなければ「生えそろう」のは難しいかもしれません。
注意
繰り返しになりますが、これらは、あくまでも「性ホルモンのコントロール」をしてあげているだけです。
見た目で分かりやすい様々な症状が改善されたとしても、副腎の状態が緩和されているわけでは一切ありません。
かならず、定期検診で副腎の状態を確認し続けていってあげて下さい。
急激に腫大する事もいきなりガン化する事だってあるのですからね。
怖いのは「治った」ように見えた時
「副腎疾患の症状」は、副腎が過剰に刺激を受けて、過剰に性ホルモンが分泌される事によって引き起こされるその症状です。
それが、投薬など何もしなくても、ピタっと治まる事があります。
それは「治った」かのように思われる状態ではあるのですが、それが意味するところは、「副腎が動きを止めてしまった」という事になります。
副腎が活動しなくなったから、ホルモンの分泌がなくなり、それらの症状が「出なくなった」だけなので、「症状が改善された」わけでは無いのです。
その時の副腎は、正常に稼働ができないほど肥大化しているか、細胞が完全に変質(ガン化)しホルモンの分泌という正常な機能をもう持っていないか…などと、あまり楽観的な状態では無い場合が多いです。
なので、一度でも副腎疾患を疑う症状が出た時には、症状が自然に消失したからといって油断はしないで下さい。
常に副腎の状態を気にした検査を続けていってあげて下さいね。
予防法
ここまでお読み頂いてお分かりかとは思いますが、この副腎疾患という病気については、「早すぎる不妊手術のせいだ」と私は思っています。
だからって、そのせいばかりにして「仕方ない」なんて最初から投げ出すつもりはこれっぽちもありません。
なぜなら、私はこれまで副腎疾患の経験が無いからです。
それはたまたまです。
私は今でもダメダメ飼い主ですが、あの頃なんて更になーんにも知識も無いから、「ちゃんと予防していました」と言えるような事は何一つしていません。
それでも、今までの子達はそうならずにいてくれました。
「不妊手術をしてるからって必ずしもそれだけが副腎疾患の原因じゃない証明」をしてくれてきたんだと思います。
だから、調べました。
アメリカでの治療症例は予防に使えるんじゃないか?
アメリカでの治療・研究で
メラトニンは、夜、暗くなった事をその体が認識したと同時に分泌量が増え、明るさを認識すると同時に低下していく。
24時間のうち、室内での環境をより自然に近づけるため、室内を完全に暗くする時間を14時間とし、
明かりはフルスペクトルライトにてより自然に近い光で10時間のその環境をつくる。
そうする事によって、メラトニンの分泌が適切となり刺激ホルモンの分泌が抑えられる…(略
という物があります。(日本語訳がおかしいのは私の語彙力です)
上記でも書きましたが、これが「治療」として行われているのですから、これ、使いましょう!!
あなたに出来ることを出来る範囲ですれば良い
そんな事を言ったって、一日のうち14時間を暗闇にするなんて、普通に暮らしていたら無理です。
室内灯を紫外線ライトだ人工太陽灯に付け替えましょうなんて、あまり現実的なお話しでは無い気がします。
この子達のケージを照らすライトにそういうのを使用されている飼い主さんがいるというお話しは聞いた事があります。
未病(予防)として、早くからメラトニンを投与しておられる飼い主さんもいます。
皆さんがそれぞれに、出来ることを考えて出来る範囲でやっておられるのです。
あなたに出来ることを考えてあげて下さい。
リビングが明るい状態であったとしても、ケージだけは夜になったら暗い環境にしてあげる。
これは布をかけるだけで出来ます。
その際には、密閉しないよう、風通しが悪くならないよう、また、布をケージに引き込んでの事故(布の誤食等)など無いようくれぐれも注意してあげて下さいね。
副腎疾患は「ホルモンの異常」なわけですから、人間のそれと同じように、この子達にも規則正しい生活を送らせてあげるって事を意識されると、だいぶ良いんじゃないかなって思います。
ただしあくまでもこれは個体差です。
どんなに気を付けてあげていてもそうなる事はあります。
それは飼い主さんのせいではありませんから、どうか、「副腎疾患」と診断された時、自分を責めたり悲しんだりするような事だけはしないで下さい。
最初にもお伝えしましたが、
副腎疾患というのは、フェレットの飼い主なら全員がその事について最初から考えておいてあげるべき疾患です。
それは「一生涯に渡って上手に付き合っていってあげる事を考える」って事ですからね。
普段から、その子の様子をよく見て、スキンシップをはかって、気が付いてあげて(早期発見)下さいね。
ちなみに我が家ではこんな事を心掛けています。
-
フェレット【副腎疾患が春先に増える理由】エルちゃんが副腎腫瘍予備軍かも?予防に毎朝ライオンキング
愛鼬ちゃんの副腎の摘出手術をされたという方からこんなメールが届きました。 はじめてメールさせていただきます。 うちの豆子は3歳くらいの時にオマタの腫れが出てくるようになっていたんだと思います。 ですが
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皆それぞれ、自分とその子にあった素敵なニョロニョロ生活を☆彡