※当記事の子は血豆のような見た目の症状ですが、体感として一番多いかなとは思うのは「変なところ(肉球)から爪が生えてきているように見える」症例です。
こちらのお写真の子のように「お腹にできる」事もあります。
皮角というのは「どこからでも生えてくる可能性のあるもの」で、その詳細は当記事を最後までお読みいただくと「なるほど」とご理解頂きやすいかなと思います。
まず、アイキャッチの子の発見(診察まで)の経緯
保護っ子としてお引き受けして病院へ直行
外にいた子なので診察前に軽く体の汚れを拭いてあげたり保護時の記録として爪の長さを写真におさめるなどしていた時
最初は「カピカピウンチが肉球の隙間に挟まってる」と思いました。
でも、引っ張ってもふやかしても取れないから「トゲか何かが刺さってカサブタでコーティングされてるのかも。くっついてるとか挟まってるとかじゃなくて出来ちゃってるカサブタとか血豆とかかもしれないからもう触らないでおこう。でも、何でこんなところにそんなものが出来るのか今後のために先生にお話を聞こう」
先生「これはですね…
フェレットの肉球に爪?カサブタ?角化異常「皮角」とは
ココがポイント
- 皮角(ひかく)または肉球爪状物質(にくきゅうそうじょうぶっしつ)と言われるこちらは、「言い方は他にも色々ある」
- 皮膚の表皮の外側(いわゆる角質)の部分が盛り上がってきて皮膚がイボのようになってしまう(角化(かくか)異常)
- 皮角自体は良性だが、扁平上皮癌や免疫異常などの基礎疾患にあることもある
【フェレット 皮角】【フェレット 血豆みたいな】などで検索すると「肥満細胞腫」についてのページばかりが出てきます。
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フェレット【肥満細胞腫・老人イボ・腫瘤】皮膚に腫物デキモノ出血あり危ないのはどれ?
今日のアイキャッチ画像の子、デキモノが2つ出来ているのがお分かり頂けますでしょうか? もっとも、そのうちの一つは破裂していて血液が毛に付着している状態なだけなので、デキモノとしては分かりづらいのですが ...
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ので、ちょっとワンコスやニャンコスの症例と一緒に見てみましょう。
皮角(ひかく)
猫のサイトより
- 猫の肉球に硬いツノのようなものができることが稀にあります。これは皮角(ひかく)といって、皮膚の角質がこの部位だけ多くできてしまうことが原因です。
- ほとんどが肉球にできますが、他の部位にできることもあるようです。皮角自体は良性ですが、扁平上皮癌などが基礎疾患にあることもあるので、大きかったり高齢のネコでは注意が必要です。また猫白血病ウィルスに感染している猫でできやすい特徴があります。もし発見した場合は一度かかりつけの動物病院に相談した方が安心でしょう。
犬のサイトより
- 皮角はゆっくり成長するそれそのものは良性病変で、全身どこでもできることがあります。根元に皮膚の癌などが存在していることがあるため、そのままでもいいのか病気なのかは一度きちんと確定診断を受けましょう。
- 皮内角化上皮腫(ケラトアカントーマ)は、表皮表層から発生する良性腫瘍です。 あらゆる犬種でできますが、若齢の雄でできやすいといわれています。 腫瘍の表面には穴があり、こすれたり自分で傷つけたりして、出血や傷がえぐれた状態である潰瘍(かいよう)がみられることもあります。
その他
- 基本的には皮膚の一部分の角質が、必要以上に多く角化しまうことが原因と考えられており、猫よりも犬に多く見られる症状だと言われている。
なるほど。
あまり心配する必要は無さそうだけど、素人判断はダメという事で、こちらが同じような症例できちんと検査してもらったフェレットの病理検査の結果です。
フェレットの実例
見えますでしょうか?
「角化物」「ケラチン物質」とあるのですが
角化物
角化症によってできたもの。
角化症は、皮膚の角質層が厚く硬くなる疾患のことです。
数ある皮膚の病気の中でも皮膚が硬くなっていく症状をまとめて角化症と呼びます。
皮膚が硬くなる原因はさまざまで、先天的な遺伝性によるものと、外部からの刺激によって引き起こされる後天性のものとがあります。
ケラチン物質
皆さん一度は必ずどこかで目や耳にしたことがある、特に女性の皆さんにはおなじみの「ケラチン」。
そうです、ケラチンとは毛髪や爪を構成するタンパク質のことです。
動物たちでは、『その生体を外界から隔離するために形成した保護外被、すなわち「皮膚角質層」「毛髪」「羊毛」「羽毛」「角」「つめ」「うろこ」「くちばし」などなどを形成している類似タンパク質の総称。 角質ともいう。』です。
先ほどの病理検査の結果を見せてくれたあの子も
「うちの子の場合は簡単に言えば爪が変なところから出て来た感じって先生は言ってました。うちの子のはちょっと大きくなったので念のため検査しました。 」と飼い主さんが教えてくれました。
で、気になってる方もいるかもなので念のため
扁平上皮細胞
「扁平上皮」と聞くと、「扁平上皮癌(へんぺいじょうひガン)」を想像してしまう方もおられるんじゃないかなと思います。
なにせ、人間では「腺がんに次いで多い組織型で全体の25から30%を占めている」のが扁平上皮癌ですから、もちろん私は想像しました。
なので調べましたら、「扁平上皮癌とは皮膚や粘膜の表層を形成する扁平上皮細胞が悪性化したものです」とありました。
なら、その扁平上皮細胞とは何ぞやと調べたら
「顕微鏡で観察すると魚のうろこのように見える平らな細胞。この種の細胞は身体内外の表面を覆っている。扁平上皮細胞は、皮膚の表面、中空臓器(膀胱、腎臓、子宮など)の内壁、呼吸器系や消化器系の導管などの組織に存在する」って事でした。
なんだ、良かった。
なんとなく聞き覚えのある言葉の雰囲気だけで勝手に怖がっちゃうの本当に良くない癖ですね…反省。
というわけで…
まとめ
この記事は、とある事情で、あっちこっちから急いでかき集めたものをヴワーっとメモ的に並べただけになるのですが、少しでもお役に立てそうでしょうか?
この記事のお写真の子のように大きなかさぶたのように見えるものができていたり、ある日突然、変な所から爪(のように見えるもの)が生えてきたら、ビックリして不安になってしまう飼い主さんは多いと思うんです。
ですが、「一過性のデキモノといった場合が多く、とくに処置は必要ないケースが多い」と先生が言っていました。
その理由は「皮角が出来ても特に痛みや痒みといった、この子達のQOLを下げるような症状は伴わず、更に、ほとんどの場合は自然にポロリととれるため、この子達が普段通り元気であれば、特に何かの処置はせずにそのまま経過観察でも問題無い」んだそうです。
日に日にどんどん育っていってたまこちゃんの皮角が半分くらい折れてポロリととれていました(血栓予防のお薬を飲んでいるので人の手で削ったりとったりは考えてないです)
大きさ比較のカワユスは @guccoguchiko さんに作ってもらったさすけのお箸置き🥰
皮角についてはリプに繋げますのでそちらで! pic.twitter.com/wFl1DONxs0— 滝川🌏️いたちのおうちの中の人 (@MaikoTakigawa) September 16, 2024
ただし、皮角によって歩行が困難そうであったり、ニョロが気にして自分で噛みちぎってしまったり危なそうな場合には病院でとってもらいましょう!
「飼い主さんが爪切りやハサミで切りとっちゃって良い」と書いてあるサイトがありましたが、慣れてないうちは自己判断でそういう事をするのはやめておきましょうね。
先ほども書きましたが、稀に良性ではなく悪性の場合があったり(デキモノ自体が扁平上皮癌という可能性だって0ではありません)、病気が隠れていたり、する場合がありますので絶対に一度は必ず病院で診てもらってあげて下さいね。
- フェレットにも「皮角」はできる
- 皮角(ひかく)は色々な呼び方がある
- 皮角自体は怖いものじゃない場合の方が多いけれど、何かの病気が隠れているかもしれないので、詳しい検査をして調べるべきかどうかもまずは先生に相談が必要
健やかなニョロニョロ生活を☆彡