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病気

フェレット コロナウイルス(通称グリーンウィルス)伝染性カタル腸炎とは

1990年代にフェレット(ヨーロッパケナガイタチ)の伝染病としてアメリカで大流行した

「ECE(動物間粘膜性腸炎)」

「グリーンウィルス」

などと呼ばれる消化器系の感染症。

日本でも2000年以降のつい最近になって、流行の可能性を指摘されるほどに認知され始めた病気です。

俗にいう「グリーンウィルス」は、この病気にかかると「多くの個体が緑色の便をすること」だけが由来です。

ですが、この病気に罹患したからと言って、必ずしも緑色の便をするというわけでは無いし、他の病気でも緑色の便をすることがあります。

「緑のウンチをしたからコロナ」と決めつけるのはとても危険な事ですし、

「感染症に罹患」という事だけで、必要以上に怖がったりしてもいけません。

グリーンウィルスと呼ばれるそれは「原因はコロナウイルス」としっかり覚えて頂いたうえで、間違った情報に振り回される事なく、きちんとした知識で冷静に対処をすれば何も恐れるような事では無い!って、知っておいて頂きたいと思います。

コロナ発症中のフェレットとの接触では感染率は100%に近い数値だとも言われていますが、健康体のフェレットでの発症率はとても低くく、また発症したとしてもきちんと治療処方すればその死亡率は5%未満です。

ECE研究論文(日本語訳)

コロナウィルスについて

免疫力が高い健康なフェレットは感染しなかったり、また、感染したとしても症状が出ないことが多いのが、このコロナウィルスの特徴です。

これは、感染していても生涯において無症状で発症しないフェレットが多いという事と、特に若いフェレットに関しては、感染しても軽度の下痢をする程度の発症で、これと言った症状が見られないまま10日ほどで自然に回復(下痢が治まる)する事が多いとされているから、その「特徴」とされています。

ただし、感染したその子は無症状に見えても、発症中の子が持つウィルスには感染力があります。

要するに、

発症中のフェレットと接触する機会を持ったその子は、その時に発症しなかったというだけで、ほぼ100%の確率で「感染はしている」という事です。

例えば、ベビフェレ時期に感染していたとしてもそのほとんどが自己の免疫力で回復を見せたのち、一生ではないにしても、それなりに免疫が付く事などから考えても

感染していること自体は珍しい事でもなんでも無く、積極的に感染しているかどうかの検査をする事はあまりありません。

ただ、フェレットが高齢であった場合などにはその症状が重篤化しやすいので、早めの処置が必要とされているだけです。

また、他の病気を発症して免疫力が落ちた時などには併発しやすいので、そういう場合においては「感染症発症」として、まっさきに疑いが出て、はじめてそこでコロナの検査がされたりします。

感染経路や症状

この病気がまだ「ファームでの感染が多い」とされていた頃の子達の症例では「生後3か月程度で症状が出ることが多い」と言われていました。

これは、ちょうどショップからお迎え出来るくらいの月齢です。

ウンチがちょっとおかしいのに、コロナ発症中を疑わず「お迎えした(新しい環境になった)ばかりだから、ちょっと様子をみましょうね」などとノンキに多頭飼育を開始した結果、先住ちゃんまで下痢をするという例が多々ありました。

なので、当時は「お迎え症候群=コロナ感染」という認識があったくらいです。

ですが、その後、研究が進んできている事などから、現在では、お迎え症候群はそればかりでは無いとされています。

理由は後述しますが、あの頃から現在に至るまで、お迎え症候群の疑いがある子に積極的にコロナ感染の検査をする事はあまりありません。

実際に、お迎え症候群と診断されたうちのエルちゃんは、お迎えから2ヶ月も経っていたという事もありますが、やはりコロナの検査はしておらず、こういう診断をされました。

フェレットお迎え症候群【突然の水下痢】症状とその治療

感染経路

コロナ発症中の子の

  • 体液
  • クシャミや咳の飛沫

はもちろんの事、感染フェレットに直接触れた

  • 人の手や衣類
  • その子と共有するハンモックやオモチャ

または

  • 共有するトイレ

などでも容易く感染します。

とても感染力が強いウィルスのなので、そこら中の物で媒介すると思っていた方が良いです。

発症中の症状

初期の段階では

  • ベタベタして悪臭のする緑色のウンチが出る

ことが確かに多いです。

ベビニョロは特に無症状の事も多いです。

でも、だからといって、それを見逃したり軽く考えてはいけません。

緑色のウンチが出なくても、

  • 食欲がない
  • 寝てばかりいる
  • 下痢
  • 血便
  • 粘膜便
  • 嘔吐

などの症状が見られたりします。

慢性化すると、

  •  消化不良の粒々ウンチ

がよく見られるようになったりもします。

重篤化して、

  •  脳神経障害(まっすぐ歩けない、くるくる回ってしまう)

などの

  • 後遺症

が残ってしまったというお話しを聞いたこともあります。

緑のウンチばっかりに気を付けて「ウンチが緑じゃないから大丈夫」だなんて思っているうちに病気や老齢の先住ちゃんに感染させてしまったり、手遅れになってしまったなんて事がないように、くれぐれも気を付けてあげていて欲しいと思います。

が、ここまでに何度も書いてきているので、お分かりの方がほとんどかとは思いますが、「コロナに感染しているかどうか」を前もって調べる事はあまり無いので、

「気を付けようが無い」と言われればそれまでだったりもします。

コロナウイルスの検査

組織病理検査+免疫組織化学検査(免疫染色)までのいわゆる正式な「コロナの検査」は一般的な動物病院でおいそれと行われているものではありません。

もちろん、それが特殊な検査であるという事情もありますが、それを常に率先して実施しなければいけないというものでは無いからと考えられているからです。

すなわち、コロナウイルスといのは、ウイルスとしてそこまで重要視されていないという事です。

どうしてもコロナの検査をする必要がある場合には、その専門機関で行いますので、その一例として

⇒ノーバウンダリーズ動物病理 コロナセット (.pdf)

など、ご覧頂けたらと思います。

では予防するには?また治療法は?

「免疫力が低下している生体が発症しやすい」事から、免疫力を落とさない事が肝心です。

そして、シニアや病気の子は特に「感染させない」「発症させない」発症したら「重篤化させない」事が大切な心構えとなってきます。

「腸内細菌と同じでもともと常在しているくらいに考えておけばいい」という文献もあるくらいなので、当然、予防するためのワクチンなどはありません。

某かの症状が出ていて、ウイルス検査によって感染が分かった生体は二次感染を防ぐために抗生物質を投与したり、腸粘膜を保護するお薬や抗ウィルス剤を投与したりもします。

が、

若いフェレット達なら、補液や栄養補給などの支持療法だけでよくなる事が多いです。

治療方針などは病院によって、またはその子によって全然変わってくるので、かかりつけの獣医さんの説明をよく聞いて下さいね。

まとめ

コロナウイルというのは、感染力がとても強いウイルスです。

ですが、感染した(感染している)というだけでは、別に何も問題はありません。

無症状で無自覚の場合も多いです。

なので、たまたまそれが発覚したとしても慌てる必要はありません。

冷静に病状をしっかりと見極めて、病状を見守り、担当の獣医さんとよく相談して落ち着いて、その全てを決めてあげて欲しいと思います。

どんな病気でもそうですが、

ただ漠然と怖がっているだけでは、いざという時にうろたえるばかりになってしまいます。

正し知識さえ持っていれば、怖がる事は無いし、何かが起きた時にも冷静に対処が出来ます。

どうか、「フェレットのコロナウィルス(グリーンウィルス)」についても、正しい知識を頭にいれておいてあげて下さいね。

追記(2020年2月)

上記までの内容に『コロナウイルス疾患と全身性コロナ疾患についてまぜこぜに書かれているのではないか』とご指摘がありました。

タイトルには「コロナウイルス(伝染性カタル腸炎)」と表記していたのですが、「コロナウイルス」と一括りにして書き出しているので誤解を招いてしまったんだと思います。

申し訳ありませんでした。

というのも、この記事は、2015年(当記事の元になった記事を書いた時点で一番新しいもの)日本生物科学研究所から発行された正式な獣医病理学研修に基づいて書かれた文献を参考にしています。

その文献は

供試サンプル
2008 年から 2010 年の間に東京及び神奈川の動物
病院に患畜(一部健康診断目的含む)として来院し
た 62 頭のフェレット(2 ヶ月齢から 8 歳〔年齢中
間値:5 歳、雄 36 頭、雌 26 頭〕;下痢、食欲不振
等の主訴の他、健常個体も含む)より糞便を採取した

なのですが、実は、ここ数年で

フェレットのコロナウィルスとしてはカタル性腸炎(ECE)を起こす腸炎型コロナウィルス(FRECV)が以前から知られていますが近年これまでの腸炎型とは異なる全身性コロナウィルス感染症が報告されています。日本では2010年にその最初の報告があり~

と、獣医学会の方から、お知らせがでるようになりました。

要するにこれは、「コロナウイルス」は「それまでのコロナウイルスとは別のコロナウイルスが見つかりました」という事です。

初回投稿時の「2010年までの事でしか書かれていない」内容では、2020年の今ではもう「コロナウイルス」の説明として「足りていない」事になってしまうのです。

そのままでいる事に気付いていなかったので、ご指摘頂けて良かったです。

ありがとうございました。

そして…

新しく発見されたコロナウイルスについて、私はこれまで身近に症例を聞いた事がなく、はっきり言ってしまうと、こうしている今でも「実はよく分かっていない」状態なのです。

きちんとした情報を集める事がまだできていないので、知ったかぶったお話しをするわけにはいきません。

だからと言って、情報として欠けているままの公開では用が足りません…

現に、そういうご指摘を頂いているわけですから。

なので、「詳細は分からないけれど、今はコロナウイルスは1つではないです」という事を、それだけにはなってしまいますが、今現段階での追記とさせて頂きます。

今、色々と文献を探してもらったり、実際に現在通院中の飼い主さんから直接お話しを聞かせて頂いたりしている真っ最中ですので、最新の情報のお届けまで今しばらくお待ち頂ければと思います。

もう少し、もう少し、待っていて下さいね。

健やかなニョロニョロ生活を☆彡

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