ウンチというのは、この子達の体の調子を知る事が出来る重要なアイテムです。
毎日、健康かどうかを教えてくれている大切な物です。
だからと言って「こういうウンチだったら○○(病気)です!」等といった、絶対的なものではありません。
きちんとした便の検査でも無い限り、たった一度ウンチのその状態を見ただけで病気の種類を判断をするなんて、獣医でも不可能です。
だから、「いつもと違うな」と思ったら、注意深く見守って、それが続くようなら必ず病院へ連れて行ってあげる事はここで約束して頂きたいと思います。
まずは、「いつもと違うなを見逃さない」事を心掛けてあげるようにしてあげて下さいね。
今日のお話は、あくまでも「一般的な」ウンチのお話しです。
ここから先は、当てはまるからこうとか、当てはまらないからどうとかって話しでは無くて、「こう言われてますよ、参考にしてみて下さいね」ってだけのお話しです。
何かあったら「病院へ行く」、それまでのちょっとした参考にして頂けたらなって物です。
勝手に安心したり、過剰に不安になったりは絶対にしないって約束して下さいね。
ウンチの種類とその時のチェックポイント
この子達の健康状態を知ろうと思った時、その物(ウンチ)自体を見るのは当然ですが、「その前後の様子」も重要なチェックポイントです。
これを機に、是非、我が子がウンチをしている様子を一度きちんと見て、知ってあげる機会を作ってみて頂けたらなって思います。
最中やその前後に見るポイント
チェックリスト
- 排便回数が多くないか、少なくないか(便秘じゃないか)
- 排便時に痛そうにしていないか(鳴き声を出す事もあります)
- 普段より時間がかかっていないか
- 覚えていたトイレを急に失敗したりしていないか
- 終わった後にお尻を引きずったり(お尻が気持ち悪くて「ただ拭くだけ」ってお茶目ニョロもいます)
とにかく、普段と違っていないかがチェックポイントです。
お次はいよいよ
- 量や硬さ
- 下痢、軟便気味じゃないか
- ウンチの色は正常か
を見てあげてみましょう。
これらが、「普段の様子と違う」それが続くようなら、すぐに病院へ連れて行ってあげて下さい。
その様子に気付いてあげるためにも、普段からしっかりと、その様子を見ていてあげなければいけないのですよ。
そしてこれは男の子の場合だけではありますが、
- ウンチをするわけでも無さそうだったのにちょっと出ている
ような時には前立腺疾患を疑って速やかに病院へ連れて行ってあげて下さいね。
ウンチの種類
正常な便とは
- 色は茶色~茶褐色
- チューブの歯磨き粉くらいの硬さ
- それを3~4cm「つ」の字に絞り出したような状態
だと言われていますが、プレッツェルみたいな形だったり「2」だったり「?」だったり色々な形があります。
色の表現だって、人によって違います。
それに、与えているフードやオヤツの種類によっては
黄色っぽい茶色になったり、黒っぽい茶色だったりもします。
だからこれも、フードやオヤツを変えてもいないのに、普段とは違う色(形)になっていないかが大事なチェックポイントなのです。
また、「フェレットは下痢をしやすい」と言われています。
ゆるゆるウンチばっかりする、いたって健康なニョロリンだっています。
特に、寒暖差の激しい時期、季節の変わり目や低気圧の影響などで「ウンチが安定しない」のが「もはや日常」とまで、おっしゃるニョロリストさんを知っています。
そういう事ですからね。
今日、これ以下のお写真は「こういう状態だったりもします」「こういう例がありました」っていうだけの参考程度にご覧下さいね。
少しゆるめのウンチ
神経質にあれこれと心配しようと思えば、これが「したて」なのか「少し時間が経っているか」によって、その答えは変わってきます(水分量のこと等)
ですが、これが
- 1回限りである
- 他に変わった様子(元気が無いとか食欲が無いとか)が無い
- 等、その他
であれば、「問題無いと考えて良い」ウンチです。
また、気圧の変化やその他諸々の影響を受けやすい子は、頻繁にこのようなウンチをします。
心配でしたら、一度、きちんと腸内環境の事など調べてもらって、「問題無い」事を確認してもらってあげて下さいね。
下痢
この状態のウンチも、一度きりなら問題無い場合がほとんどです。
ですが、下痢というのは様々な病気のお知らせである場合が多いです。
参考:『下痢が症状にある主な病気一覧』
ちなみに、このウンチは「コクシジウム症」を発症した直後のものです。
この状態が続いたり、更に症状が進んで水様便になるようでしたら、速やかに病院へ連れて行ってあげて下さいね。
同じように見えますが…
上の下痢便とユルユル具合はほぼ同じです。
ですが、このウンチは突発的に一度だけのもので、「気圧の影響(体にかかるストレス)」か何かだとは思いますが、はっきりした原因は不明です。
※食べているフードによっての違いがありますので、ここでは「色の違い」には注目しないで下さい。真っ黒・赤・緑等、気を付けてあげて欲しい「色」については後述します。
水様便(水下痢)
病気など様々な理由から消化管で水分が吸収されず、下痢便がさらに水っぽい状態になったものを「水様便」と言います。
下痢の「症状が進んだ」状態である事は間違いないので、何らかの疾患を疑って、様子見をやめて病院へ行くべきタイミングに移る目安になるウンチだったりします。
この子は「お迎え症候群+気圧の影響じゃないか」とされ、整腸作用と腸の炎症を抑えるお薬と下痢止めを処方してもらいました。
その詳細は⇒お迎え症候群や気圧の影響で「サラサラとした水下痢になる理由」でご確認頂けます。
この程度なら「大したことない」という判断もありますし、「今すぐ病院へ」という状態では確かに無いかとは思います。
大至急、病院へ行くべき水下痢
サラサラとした水下痢は上載リンクの通りだったりもするのですが、このような
「オレンジ色の水下痢」になった時には、なるべく急いで病院へ連れて行ってあげて下さい。
とにかくこの状態は、治療が必要な病気である場合が多いので、体力が落ちてしまう前に、なるべく早く、できるだけ急いで病院へ連れて行ってあげて下さいね。
オレンジ色の便(下痢)
黄色っぽいオレンジ色だったり、血便ほど赤くは無いけど程度のオレンジ色だったり、とその色味的な事は一概にはいえませんが、とにかく「オレンジ系統の色」の便だった場合は要注意です。
特にこんな風にフルフルした形状のものは
剥がれた腸壁が時間の経過で変色している物かもしれません、はたまた内臓のどこかからの出血を意味しているものなのかもしれません。
消化しきれなかったオヤツのフルーツである場合なら良い(※フェレットのオヤツとして市販されているものがありますが、この子達にフルーツを与えるのはあまり良い事では無いと私は考えています。参考:フェレットに果物をオススメ!について)のですが、それは誤食した何かかもしれません。
その原因は色々と考えられたりもしますが、原因究明やその判断云々より、このウンチの時はあまりノンビリ様子を見ている場合では無い事が多いです。
「2日くらい緑色の下痢が続いて近所の病院で点滴投与を受けてたんだけど、3日目にはオレンジ色のウンチになっちゃったから、フェレットに強い病院に入院した」という子は、その時点で
脱水症状から「急性腎不全」を起こしていたそうです。
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フェレット腎臓疾患【原因(腎臓病から腎不全)症状】尿素窒素BUN値が異常に高いワサビの例
腎臓には体に不必要となった老廃物を、尿として排泄するほか、血液を作ったり、体液のバランスを保つ機能があります。 腎臓が悪くなると毒素が溜まり、食欲低下、嘔吐、貧血尿毒症による脳障害などさまざまな障害が ...
また、それっぽいウンチを検便してもらったらオヤツの「バイトをあげすぎ」という子もいました。とあるメーカーのそれは、あげすぎるとオレンジ色がかった茶色いウンチになる事があるそうです。
「強烈な臭い」のそれは、内臓疾患による物で間違いないので、速やかに病院へ連れて行ってあげて下さいね。
以前、「血便との違いはなんですか?」とお問合せがありました。
かなりザックリした言い方ではありますが、「鮮血が目視できれば、それは100%血便です。が、血便にも色々種類がありますし、それ以外は必ずオレンジになるというばかりでもありません…」として、これ以下など参考にして頂けたらと思います。
血便
血便とは、消化器官や直腸、肛門などから出血した血液が混じった便の事を言います。
本来(例えば人間用などの説明などで)なら、黒褐色から鮮やかな赤色をしていて「肉眼ではっきりと確認できる血便」と、肉眼では確認できず「検査をして初めてわかる血便」とに分けなければいけないのですが、今日は、この子達の日常のお世話で「チェックして欲しい」便の種類のお話しです。
なので、ここでは肉眼ではっきり分かる血便についてだけご説明します。
検査でしか分からないものについては上記のオレンジ色の便の場合、及び、下記(黒色便)を参考にして下さい。
ウンチに血が混ざっているのでは無く、ウンチに血が付いている状態の時は大腸や肛門近くでの出血です。
とかなんとか言うとりますけれども、ある時突然、ウンチに血が混ざってるとかウンチに血がついてるだなんてレベルではなく、何の前触れもなくこんなに真っ赤な「血そのものじゃん!」が出たら慌てふためきます。
が、この子は「胃腸炎」と診断されました。
数日間の飲み薬ですっかり回復しましたので心配しないで下さいね。
私は大慌てでとる物もとりあえずウンチを握りしめて病院へ駆け込みましたが、その子が元気にしている(普段と変わらない様子な)のであればそんなに慌てなくても大丈夫だそうですから、こちらをお読み頂いている皆さんはどうか冷静にその子の様子を見ながら落ち着いて病院へ向かって下さい。
ただし、その子が
- 高齢だったり、何かしらの疾患を抱えていたり、闘病中の場合の血便は「生命の危機」に陥ります。
- また、踏みつけてしまった直後などにこのような鮮血は「命の危険」を示しています。
大至急、病院へ!!
※こんな風に砂の上のウンチはペットシートに吸わせたりそのままガザっとジップロックなどで掴んで持って行ったら良いですよ。(砂が入っていても大丈夫ですからね)
ひどい脱肛の時などには、ウンチに血がまとわりついていたりしますので、ちょっとチェックしてみてあげて下さいね。
また、ベタベタした粘液に血液が混ざった状態の便を粘血便といいます。
粘液便(タール便)
腸粘膜が剥がれ落ちて、ゼリー状に便にまとわりついた状態のウンチです。
また、便の中にそれが入り込んでいてネトネトしているような状態だったりもします。
原因は増殖性腸疾患や、お腹の風邪などでもそのようなウンチになる事があります。
慌てなくても大丈夫ですが、このウンチが続くようなら、病院へ連れて行ってあげて下さいね。
また、その中に血液が混ざっているのが、上記で述べた粘血便という事になります。
緑色便
伝染性カタル性腸炎(いわゆるグリーンウィルス)がその原因のように思われがちではありますが、実は、ほかの消化器系の病気でも、ウンチが緑色になる事があります。
緑がかったウンチではありますが、こちらはコクシジウム症を発症していた子のウンチでコロナウイルスの感染とは全く関係ありません。
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フェレット コロナウイルス(通称グリーンウィルス)伝染性カタル腸炎とは
1990年代にフェレット(ヨーロッパケナガイタチ)の伝染病としてアメリカで大流行した 「ECE(動物間粘膜性腸炎)」 「グリーンウィルス」 などと呼ばれる消化器系の感染症。 日本でも2000年以降のつ ...
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ツブツブが混じった便(つぶうん)
消化不良を起こしている事を表す「未消化物が混じっているウンチ」です。
消化不良を起こす原因は、
- フードが合わない
- 風邪などの体調不良
- 内臓疾患の初期症状
などなどと、実に様々です。
すぐに通常便に戻るようなら何も心配する事はありませんが、フードの変更など思い当たる事が無く、この状態が続くようであれば消化不良の原因を調べてあげる必要があります。
症状が改善される事なく下痢をするようになる等の場合には速やかに病院へ連れて行ってあげて下さいね。
ツブツブの水下痢
この状態はもう、単なる消化不良では無く、何らかの原因によって「腸に炎症を起こしている」場合が多いです。
その原因解明(様子見)より先に、その炎症を抑える処置を優先してあげて欲しいと思います。
腸に炎症を起こしている状態というのは、感染症に罹患しやすくなったり、脱水状態を引き起こしたり…と、長い時間そのままでいる事はあまり良い事ではありませんからね。
毛が混じっている便
毛づくろいで飲み込んだ毛が排泄された状態のウンチです。
換毛期には特に多く見られるウンチですが、飲み込む毛量が多すぎたり、排泄されないままの毛がお腹の中に溜まってしまうと毛球症や腸閉塞といった大変な事態を引き起こしてしまいます。
多少の毛が混じっている事自体には何も問題はありませんが、「ウンチが細くなってきた」などの変化が出るようでしたら、すぐに病院へ連れて行ってあげて下さいね。
開腹手術が必要になってしまう事もありますから、くれぐれも、気を付けて見ていてあげて下さいね。
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換毛期は要注意【毛球症は腸閉塞・胃内異物の原因になる】毎日のお手入れにちょっとプラス!
春と秋は動物たちも衣替えの季節です。 1歳前後の子は特に、尋常じゃない生え変わり方をしたりします。 「抜け毛を集めたらもう一匹フェレット出来ちゃうんじゃないか」ってくらい抜ける事があります。 だけど、 ...
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黒色便
黒色便とは、胃や小腸など、消化管のうち肛門から遠い部分で出血している状態を表すウンチを言います。
こちらのウンチは
真ん中あたりが黒いのがお分かり頂けるでしょうか?
胃潰瘍を疑い検査に出したところ「肉肉しいフードの影響」という事で「フードの成分の影響で体には何も問題は起きていない」という診断だったそうです。
「全く何にも問題無い。むしろ超健康体」のウンチです。
インスリノーマの治療中などステロイド剤の副作用でも黒いウンチになります。
黒いウンチが示す内臓疾患は、あまり良い状態では無いという事を意味している場合が多いです。
ただし、こんな場合もあります。
先ほどの「心配ない黒色便」の説明もこちらになります。
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フェレット【健康的な黒色便とは?】突然ウンチが黒くなった理由はフードの鉄分
この子達の「いつもと違う」は体調不良のお知らせである場合が多く、私もこれまでずっと「毎日の生活の中でそこに気を付けておいてあげて下さい」って言ってきています。 その中でも、特に、体の中で起きている事を
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1つの症状だけを表しているとは限りません
こちらのお写真
- 真っ黒で
- 粘液(タール)便の混じった
- 水下痢のような便
- すごいニオイがした
これが「最後のウンチ」だったそうです。
天に帰る準備として体を軽くするためなのかな…
「噴射するようにした」とおっしゃっていました。
変化する(症状が変わる)ウンチに注意
上記でも述べたように「細くなってきた」などの変化だけでなく、病状の進行やその症状によってウンチの形状が変化する病気というのがあります。
例えば
軟便→タール便→水下痢もしくは緑色便
は、典型的なIBD(炎症性疾患)の症状ですし、
つぶうんからのゲリ
「ツブウンが続くからフードが合わない」んだと思った飼い主様が、数十種類ものフードを試しているうちに段々と下痢をするようになって、詳細な検査を繰り返した結果「ジアルジアによる好酸球性胃腸炎」だと診断された子もいます。
このように、
ただ一度のウンチで不安になってはダメです。
かといって、程度が軽いと勝手に思い込んで様子見という名の放置はもっとダメなのです。
まとめ
「一つのウンチを見ただけで何かを正式に診断する」なんて、獣医さんでも出来ません。
だから、きちんとした検査をするのです。
「何か」は分からなくても、ウンチはその子の体の事を教えてくれる大切な物です。
そこからの情報を見逃さないように「いつもと違うな」に、誰よりも早く気付いてあげられるのが私たち飼い主なのですから、それが一時的な物なのか、この小さい体の中で起きている変化の症状なのか、それを冷静に見定めてあげられるよう努めてあげて下さいね。
様子見は長くても2日が限度だと私は思っています。
なんとなくでも良いです、少しでも「おかしい」と思ったら、ためらわずに「診察してもらう」という選択をしてあげて下さいね。
今日のお話しの元記事はこちら
重複もありますが、より詳細に書いてあったりもしますので、お時間がありましたら、是非こちらにも、目を通して頂けたらと思います。
健やかなニョロニョロ生活を☆彡