まずはじめに
「フェレットの証明書」にその正式な定義はありません。
これは各ファームごとによっても違いますし、販売店舗によっても、その扱いや「どれを指して」そう言っているのか、そこからもう違っているのです。
現在、私たちが日本でお迎えできるフェレットのその大半は、外国生まれのいわゆる「ファームっ子」です。
なので、個人輸入のニョロリンやDRFっ子のお話しはまた別の機会にさせて頂くとして、「一般的なフェレットの基礎知識」として知っておいて欲しい「証明書」についてのお話しです。
犬や猫の血統証明書は「その子の血統」を「証明する」ための書類ですが、「フェレットの証明書」と呼ばれる紙は、一体、何を証明している書類なのか?
まずはそこから、お話しさせて頂きます。
フェレットの証明書とは?
2018年現在、お店から、ペット(生体)をお迎えする時には「必ず」受け取る書類があります。
例えば、こちら
こちらは、正式名称を「動物販売管理台帳」などと言い、別名「生体販売証明書」などという物です。
「正式名称」と言いながら、「~などと」という表現を使うのは、おかしな事だと思われるかもしれませんが、「~などと」と表現していいくらい複数の正式名称があるのだから、仕方が無いのです。
販売店舗によって、その呼び名は違ってきますが、これは「販売する側」が最も大切にしなければいけない書類です。
この書類を「フェレットの証明書です」と言って、お客様にそのまま(コピーの場合あり)くれるお店もあります。
だから、これが「フェレットの証明書」って言う事もあります。
このお写真の子は、たまたまマーシャルフェレットだったというだけで、ここの表記は他の動物になる場合もあります。
それがハムスターなら、当然、この紙は「ハムスターの証明書」と呼ばれるそれになる書類です。
パスバレーフェレットの証明書
こちらの紙は、パスバレーファームから「フェレットと一緒に」送られてくる書類です。
こちらには「その子」を指し示す記述は一切ありませんので、その子の証明書などではもちろん無くて、パスバレーファームから来ましたよって書いてあるだけの証明書です。
このように、紙の色が違うのは、「発行時期の違い」というだけで、他にはピンク色だった事もありました。
また、このフェレット型の紙を「パスバレーフェレットの登録書」だとか言ってくれちゃってる人が、たまにいるみたいですけど、パスバレー社にそんなシステムはありません。
昔はあったのかもしれませんが、2018年現在、「送ったところで何もない」と、IFS(国際フェレット協会)に確認済みの事実です。
この紙に記入されている「No.」は個体識別番号では無く、単なる商品管理番号です。
飼い主様の個人情報に繋がるようなものでは無いので隠す必要はありません。
そのお話しの詳細はこちら
⇒パスバレーフェレットの証明書・登録書について誤情報が錯綜している理由を調べた結果
マーシャルフェレットは出生証明書
お誕生日はもちろんのこと、個体識別番号もしっかり記入してあります。(※飼い主様の個人情報に繋がる為、モザイク処理をしています)
これがいわゆる「国際フェレット協会発行の手術保証書付き出生証明書」です。
正式に「これが出生証明書です」と発行側がそう言って作られている、ファームっ子達の中では唯一、売り手と買い手が「証明書」だと共通認識を持って良い書類です。
保証書のみのマーシャルフェレットがいるのはこういう事情です
マーシャル社(アメリカ)はその昔は「フェレットのクォリティー確保の為、世界各国に1社代理店制度を導入しております。」と明言していたのですが、経営方針の変更に伴いその制度は廃止となりました。
2018年より日本でも「マーシャルエンタープライズ」という会社からマーシャルフェレットの扱いがあるようになり、その子達についていたのはこちら
「保証書」のみです。
もちろん、BVJの管理下ではない子達でもマイクロチップは入っていますが、IFSへの(最初の)登録などはありません。
ただ2019年現在はこういった事情となっています。
※マーシャルエンタープライズだけではありませんので、日本のマーシャルフェレットの卸はもう「唯一」ではありません。
カナディアンフェレットの証明書
こちらも、パスバレーフェレットと同じで、「ファームから送られてきた書類」というだけで、「その子を証明」するものではありません。
ファーファーム(アンゴラ)フェレットの証明書
こういった小冊子タイプが「証明書」と言われることもありますが、別々の2店舗からお迎えしたけど、どちらからも、そういったものは「もらっていない」という飼い主様がおられます。
上記と同じように、「その子を証明する」物では無いので、無くても別に気にする必要はありません。
また、こちらもファーファームニョロリンをお迎えした時のものになりますが
フェレットの保証書
こちらは、ただの「保証書」です。
ファームとか関係無く、販売店舗が(条件付きで)生体の「保証をします」という保証書です。
こちらは、フェレットワールドさんでお迎えしたニョロリンはもれなく付いてくる「保証書」で、保証期間が過ぎたら、この紙は、飼育ガイド兼領収書という正式名称に変わります。
なので、「ファーファーム」だったり「マウンテンビュー」だったり、記載内容は「その子によって」違います。
アメリカンフェレットの証明書は保証書
「アメリカンフェレットの証明書」と書いてあるので、こちらも確かに「証明書」ではありますが、個体識別を表すものは何もなく、「去勢済み 男/女」と書かれているだけで、男の子なのか女の子なのか、それさえ分からないけれど、「証明書」です。
「購入時に店員さんがその場で性別にチェックして(〇を付けて)渡された」という経験談を頂きました。
そういった事と記載されているその文言で判断すると、こちらも「その子の証明書」というよりは「生体の保証書」としての意味合いが強いように思います。
ワクチン接種証明書
パスバレーフェレットの例ばかり何度も出してあれなのですが、こちらは、とあるパスっ子ちゃんをお迎えした際の書類の一部です。
こちらは、「ワクチン接種証明書」と言われるもので、お店に来てから接種したのであれば、その情報が記入してありますが、日本へ来る前に接種しただけである場合はその情報が書かれているものです。
フェレットのワクチン接種は日本では義務ではありません。
が、日本へフェレットを輸入する為には、伝染性疾病の病原体を伝播する恐れがないという検査結果が記載された輸出国政府機関発行の健康証明書が必要となるので、
その健康証明書に書かれた「ジステンパーワクチンの接種をしましたよ」という、その情報をお迎えされる方にもお伝えするというための書類です。
次回の接種時期の参考にするためにも必要となってくる大切な書類です。
ピーターソンフェレットの保証証明書
ちょっと光っちゃって見づらいですが、これは、印刷されたものがパウチ加工されているためです。
この状態で送られてきているのか、日本で加工しているのかは分かりませんが、記入されている文字は全て印刷です。
「去勢および避妊」の文言でお分かり頂ける通り、
こちらも、「その子」の証明書ではありません。
この日に生まれて、この日にワクチンを打ってもらった手術済の「ピーターソンフェレットの証明書」であり、そこには「それらの保証書」だと書いてあります。
今日のお話しの詳細はこちら