斜頸を起こしてるフェレット

斜頸(しゃけい)

病気

フェレットがずっと首を傾げてる【斜頸(しゃけい)】原因は?どうしたら良い?

斜頸(しゃけい、Torticollis)とは、胸鎖乳突筋の瘢痕化による短縮の為に、頭部が患側に傾き顔面が健側へ回旋すると共に、頸部の患側への回旋と健側への側屈が制限される症状・疾患である。

出典:Wikipedia

こうして改めて見ると、聞きなれない単語が多くてあれですが、それらの漢字から何となくでもお分かり頂けるそのまんま、要するに「斜頸」とは「一定方向にかしげるように首を傾けているその症状」の事です。

症状が進むと、眼振(眼球が揺れ動く)が見られたり、まっすぐ歩くことが出来なくなって同じ方向にグルグルと歩き続けてしまったり、立てなくなって横に倒れたままグルグルと回り続ける(ローリング)などの症状がでたりします。

ただ、斜頸はそれ自体が病気という事ではなく、何かしらによる原因があって起きているその症状ですので、考え方としては、「斜頸を治す」のでは無く、その原因となっている「疾患の治療をする」です。

この記事に載せている写真は全部、その症状が出ていた時のうちのえるちゃんです。

軽度ではありましたが、よく見るとお分かり頂ける通り、真横を向いているのとは違い、常に一定方向(左側)に傾(かし)げています。

えるちゃんの症例も含めて、今日は「フェレットの斜頸」について、お話しさせて頂こうと思います。

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フェレットに斜頸(しゃけい)症状がでる原因となる病気・疾患とは?

「~とは?」なんて見出しにしちゃいましたけど、実はこれ、「様々です」としか本当は言いようがなかったりします。

その中で、これまで私が実際に聞いた事がある疾患は

  • 中耳炎や内耳炎
  • 感染症
  • 低血糖症
  • 脳幹部の腫瘍
  • 水頭症(脳炎)
  • 風邪
  • 外傷(頭や首の骨や筋肉の損傷)
  • 等々…

でした。

なぜ、斜頸の症状がでるのか

斜頸というのは、脳神経のひとつである前庭神経に何らかの異常をきたす事によって起こります。

前庭神経というのは内耳から脳へ情報を伝える大切な器官ですので、その前庭神経に作用するような「何か」があれば、「その症状が出る」といった具合です。

こちらは人間のそれですが、「耳の構造」としてご覧ください。

耳の構造(前庭神経)

転載:恩賜財団「済生会」

これを見れば一目瞭然。

前庭神経は中耳や内耳に起きる炎症(中耳炎・内耳炎)の影響をすぐに受ける場所にあります。

中耳炎・内耳炎

耳ダニによって引き起こされた「内耳炎」でも、何らかの原因による中耳炎でも、前庭神経に作用する状態になれば、すぐに斜頸の症状が出ます。

それについてはこちらで詳しくご説明させて頂いています。

必読!
フェレット【耳ダニについて総まとめ】内耳炎から斜頸・外耳炎・耳血腫・その他

「耳ダニ」「ミミヒゼンダニ」 フェレットの飼育経験者でこの言葉を知らない人はいません。 必ず一度は耳にした事があるかと思います。 そして、それは 「耳ダニくらい」という言葉で表現される事が多いです。 ...

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低血糖症

また、血糖値が下がると前庭神経に影響を及ぼすと言われています。

低血糖の症状が出る疾患といえば、この子達ではやはりインスリノーマがすぐに頭に浮かびます。

参考までに
インスリノーマのフェレット
フェレットのインスリノーマ(低血糖症)とは?治療法がないって本当?

シニア期(4才以上)に入ると一気にその患畜数が増えると言われる「インスリ(インスリノーマ)」とは、別名「膵島(すいとう)細胞腫」と呼ばれる、フェレットの三大疾病の一つです。 その名の通り 膵臓の中に島 ...

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脳の腫瘍や疾患

前庭神経は脳と直接、繋がっていますので、脳に何かしらの疾患や炎症がある場合、それが前庭神経に影響を及ぼせば、当然、斜頸の症状が出ます。

シニアのワンちゃんなんかではたまに聞くのですが、特発性前庭疾患といって、原因は不明とされていますが、何の前触れもなく突然発症する前庭神経自体の疾患があります。

前庭神経というのは、頭を水平に保つために首のコントロールをするなどして平衡感覚を支配する器官なので、ここに異常をきたすと斜頸症状を含む「前庭症状」という症状が出ます。

前庭症状とは?

前庭症状とは、様々な原因により前庭での感覚もしくは脳への伝達が障害を受けることによって起こる症状です。

発症した動物(フェレットに限らず)は平衡感覚を失って体のバランスをとれないようになり、よろよろし、転倒したり、斜頸・斜視、眼振をおこします。

原因

末梢性(内耳前庭~内耳神経):中耳炎・内耳炎、外傷、老齢性、特発性、一部の薬物、甲状腺機能低下症、腫瘍
中枢性(脳幹):脳の炎症、ジステンパー・トキソプラズマ・クリプトコッカス感染、腫瘍、外傷、チアミン欠乏症

単純なものでは時間とともに治まることも多いですが、急性炎症時には治療として抗生剤とステロイド剤を内服します。

耳の中の炎症があるときにはそちらの治療も必要です。

治まらなかったり悪化するときには脳の腫瘍も疑い、MRIやCT検査が適応となることもあります。

引用:にほんまつ動物病院

とのことです。

こう説明すると、なんだか、とても深刻で怖い症状のように思われるかもしれませんが、何度もいうように、斜頸は病気ではありません

あくまでも、その後ろにある何かしらを原因としている「症状」の事ですので、そこを間違わないようにしていて下さいね。

風邪

これは、えるちゃんの症例となりますが、他にも気になる症状がいくつかあったので、病院で診てもらったら「軽い風邪ですね」って言われました。

斜頸症状(フェレット)

一定方向に常に傾いているのが斜頸の症状ですから、こうしてミルクを飲んでいる時も当然そのまま傾いた状態のままです。

フェレットの斜頸

それまでの経験から「斜頸というのは何某かの大きな(重篤な)疾患の症状、もしくは脳の病気によるもの」と私は思い込んでいたので、これが斜頸の症状だと気づいた瞬間から不安になりすぎて、病院へ行くまでの間に何枚も何枚も写真を撮りました。

それらを見せながら「軽い風邪でこんな事(斜頸の症状)になる事なんてあるんですか?」と聞きました。

先生から返ってきた言葉は

「(風邪による)鼻詰まりの影響で耳が気持ち悪いんだと思います。」

でした。

数回ほど点鼻薬を投与したら、斜頸の症状も治っていたので、それで間違い無いと思います。

我々、人間でも鼻のかみすぎで耳がおかしくなったりするじゃないですか?

この子達の体も同じなんです。

斜頸は怖い病気の症状と思い込んで怯えるのではなく、この時のえるちゃんのように「体の調子がおかしいです」って教えてくれるサインだと考えてあげたら良いんじゃないかなって思います。

フェレットの風邪については、こちら『フェレット 風邪の初期症状は分かりづらい【斜頸(首が傾く画像あり)口呼吸で鼻カサカサ…】早期発見のポイントと対処方法』など参考にして頂けたらと思います。

まとめ

斜頸の症状が出ている場合、ふらつきや転倒によって、この子達がケガをしないように気を付けながら、まずは病院へ行って、その原因となっている疾患の特定が先です。

その場でグルグル回ってしまうローリングが突然、始まったりしたら、多分、ビックリして気が動転してしまうかもしれませんが、大丈夫だから、まずは落ち着いて!!

その時には、ケージには戻さず、なるべく狭いキャリーへと入れてあげて下さい。

動きまわれない分、キャリーの方が安全ですからね。

なので、病院へ行く準備を始める一番最初の作業として「まずはキャリーにその子を入れる」です。

斜頸が前庭症状の1つである以上、フェレットではあまり聞きませんが、吐き気や嘔吐の可能性は0ではありませんので、その場合には、すぐに病院へ連絡をして、

  • 斜頸の症状が出ている事
  • 吐いている事

この二つを必ず伝えて先生の指示を仰いで下さい。

耳からやその他の疾患からくる一過性の症状ではなく、それが脳の病気やケガからの症状の場合、その治療をしても斜頸の症状が治まらない事があるとされています。

そこから先は病院の先生と相談する事ですが、病気の治療をしつつ、斜頸の症状が出ている状態でいても少しでも安全で楽しく暮らせる工夫をなしてあげて下さいね。

健やかなニョロニョロ生活を☆彡

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