病理組織検査結果(脾臓)

症例1

病気

フェレットの脾臓は腫れやすい【脾臓の腫大】脾腫(ひしゅ)って何?原因・症状・治療の仕方

フェレットの脾臓(ひぞう)は年齢とともに大きくなると言われています。

その原因は分かっておらず、それらは「加齢による現象(老化現象の一つ)」とされています。

もちろん個体差はありますが、そういった(他に何も原因がない)場合、半年~一年に一度程度の検診で異常な肥大化が無ければ心配するような事ではありません。

ですが、ちょっとした衝撃で破裂する事故なども起きえますので、「脾臓が大きくなっている」と言われたら、高い所には登らせない(落ちた衝撃で破裂する事故がありました)など日常生活を少し工夫してあげたり、

足元にいる事に気が付かないで、うっかり踏んづけたり蹴っ飛ばしたりしてしまう事がないよう、ケージを正しく使った飼養環境にする(参考:「ケージの利用で事故を防ぐ!」)などをしてあげて欲しいと思います。

フェレットの脾臓とは?

胃の下側に隣接する三日月型の臓器です

フェレットの内臓の図

④心臓
⑤横隔膜
⑥肝臓
⑦胃
⑧腎臓
⑨脾臓
⑩膵臓
⑪十二指腸
⑬尿管
⑭膀胱

脾臓の働きは?

  • 血液をろ過し、老化した赤血球を破壊して除去する
  • 血液(特に血小板)を貯蔵しておく
  • リンパ球(免疫機能に欠かせないもの)を作る

のですが、

胎子(たいじ:生物学上は胎生の動物の母体の中で胚が器官原基の分化が完了してから出産までの成長中の子を指す。また、胎児(たいじ)は人間の赤ちゃんに使われる言葉です。動物たちの赤ちゃんは胎子または胎仔と表記します)の時期には脾臓も造血機能(血液を作る)を持っています。

これは、お母さんニョロリンのお腹の中にいるベビベビニョロ達の脾臓には

  • 造血機能が備わっている

という事です。

この機能が大人になってまた活発化し始めると少し注意が必要な症状(病気)に繋がっていきますので、今日はそこら辺の事も含め、少し詳しくお話しさせて頂こうと思います。

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フェレットの脾腫(ひしゅ)「脾臓の腫大」その原因、症状、治療方法は?

フェレットの脾臓腫大(ひぞうしゅだい:脾臓が腫れあがること=脾腫)の原因とされるのは、何かしらの病気の症状(影響)か、脾臓自体がその原因となっている場合の2パターンがあります。

考えられる原因となる病気

循環器系の病気

その他

などなど、実に様々な原因とされる病気があげられるのですが、これは、脾臓が腫れたからこの病気である(になる)ではなく、あくまでも、これらの病気のその症状の一つに「脾臓の腫大が認められる」というだけですので、そこは間違わないようにして下さいね。

ただ、「それほど多くはないけど」として

  • 脾臓自体に腫瘍ができる

という症例もあります。

そして、この脾腫というのは、なんの症状も見られない(原因として考えられる疾患は何もない)のに脾臓の腫大だけが起きているという症例が結構多かったりするのです。

脾臓の腫大のみが認められる場合

  • 加齢による現象
  • 髄外造血(骨髄(血液を作る本来の場所)以外の場所で血液が作られる)が起きている

この「加齢による現象」というのが実は一番多いとされています。

その単なる老化現象の一つである場合には、冒頭でお話しした通り、日常生活で気を付けてあげる事が増えるというくらいで、特に不安になったり過剰に心配するような事は何も無いのですが、髄外造血を起こしている場合には、先生との話し合いが必要となってくるので要注意です。

ただ、これに関しても同じく冒頭でお伝えしましたが、髄外造血というのは、ある日突然、脾臓がそういう働きを始めるわけでは無く、胎子の時にはそういう働きもあったわけですから、それ自体については何か突発的な難病かのように心配する必要はありあせん。

髄外造血は脾腫の原因としてわりと多くあげられるのですが、これは病理検査をしなければ分からないことなので、「脾臓が大きくなってきている」と言われる年齢になった時、血液検査で「多血」が疑われたら、脾臓の組織をきちんと調べてもらう事を考えてあげて下さい。

また、フェレットではあまり聞かないとされていますが、脾腫(脾臓の肥大)自体が今度は脾臓機能亢進症(脾臓が老化した赤血球のみではなく正常な血球まで破壊してしまうようになること)の原因となる事がありますので、こちらは、血液検査で「貧血」や「白血球の低下」が見られたら、その疑いありという事で、先生とよく相談してその後の事を決めてあげて欲しいと思います。

※脾臓機能亢進症が確定した場合には即摘出手術となりますので心の準備だけはしておいてあげて下さいね。

摘出手術については後述しますが、この脾臓腫大、シニアニョロの「大半がそう」という事もあって、素人でも「触れば分かる」とされています。

ちなみに私は分かりません。

なんやかんやと資格をもつ私が自分は触診しても分からないと言い切るのは多少問題ではありますが、この脾腫というのは、実は触診以外では非常に分かりづらいのです。

なぜなら…

脾腫の症状とは

「脾臓が腫大している事によっての症状」というのは「特に見られない場合が多い」とされています。

そうです、これは、上記で述べたように、単なる老化現象であったり、または、(肥大している)原因が他にある場合が多いので、何かしらの症状が出た時にそれは「脾腫を起こしている原因の病気に関連した症状が見られる」と言い換えられると表現したら分かりやすい…ですかね?

自信がないので、分かりやすい症例で分かりやすく具体的に言い直してみます。

  • 触診で脾腫(脾臓が腫れている)が認められた
  • 出ている症状:左右対称の脱毛

この場合、脾臓が腫れているから脱毛しているという事にはならず、また、脾臓が腫れている事からそれは単なる換毛失敗や皮膚炎による脱毛とは考えられず、

「脾臓が腫れている原因は副腎疾患だという事が脱毛という症状が出ている事によって分かった」と、こういう具合に考えられるとお話したらご理解いただきやすいですかね…

余談ですが
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また、症状として

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 歩きにくそう(歩行困難)

などが出ている場合、それは、相当な腫大によって、脾臓が他の臓器を圧迫している事によって起きている(可能性がある)症状とされます。

そこまで肥大していると、ちょっとの刺激で破裂する危険性がありますので、速やかな対処が必要となります。

対処・治療法は?

状況によってさまざまですが、脾腫の原因がある場合には、その原因となっている病気の治療から始めます。

これは、そちらが治れば脾臓も縮むことがあるからです。

また、他に原因(治療を要する病気)がなく、腫大していても何も症状がみられない場合には特に治療をする必要は無いとされ、そこからは継続的な経過観察となります。

ただ、上記のように、原因がなくても、破裂する危険性がある症状がでていたり、肥大し続けるような時には摘出手術を検討してあげて下さい。

症例2~緊急摘出手術を受けた小十郎くん~

こちらは「緊急摘出手術」を受けた小十郎くんの診断書です。

病理組織検査結果(脾臓)

元々インスリノーマを患っていたそうですが、その時は、前夜からグッタリと調子が悪そうにしていて、いつも通りのインスリの対処をして過ごしたけれど、翌日になっても体調が戻らなかったので、病院へ行ったら「溜まった血液に耐えられなくなった脾臓が破れてもうお腹の方にも血が溜まっている状態」だったそうです。

手術の成功率は50%、しかも小十郎くんはその時にもうシニアの年齢でオペをしても麻酔から覚めない可能性も十分にありえると先生からは言われたそうですが、その状態のままでは100%死んでしまいますので、すぐに摘出手術をお願いしたそうです。

結果はもちろん大成功。

7歳5ヶ月で虹の橋を渡るその時まで、実に一年以上、元気に一緒にいられたそうです。

本当に良かった。

貴重で大切な資料を皆のために見せて頂きありがとうございました。

脾臓を摘出したら?

脾臓を摘出しても日常生活には支障がないと言われています。

が、リンパ球の製造工場が1つなくなるので、免疫力が低下する可能性はあります。

感染症にかかりやすくなったりするので摘出後の生活では、それまで以上にそういったところにも気を付けてあげて欲しいと思います。

※リンパ球は脾臓以外でも作っているので0になってしまうわけではありませんからご安心下さいね。

まとめ

私が、自分で触診しても分かってあげられる自信がないからというのはもちろんの事なのですが、この脾腫にかんしては、お家でそれが分かったからといって、それだけでは何の意味もないのです。

もし腫大が認められたら、「なぜ腫れているのか」を調べて、その奥にある病気を見つけてあげたり、適切な対処をしてあげなければいけないですからね。

一年に一度程度の定期健診で、しかも触診だけで分かることですから、健康診断には必ず連れていってあげて下さいね。

今日のアイキャッチ画像は脾臓の摘出手術を受けたゴエモンくんの病理検査時のその検査結果表です。

そのゴエモンくんのお話しをはじめ、「脾臓が腫れてる」と診断を受けた子達の写真をたくさん掲載した、今日の記事の元となりますお話はこちら『いたちのおうち:フェレットの脾腫「脾臓(ひぞう)腫大(腫れる)」ってどんな病気?症状や治療方法は?』で、ご確認頂けます。

非常に長いので、お時間があります時にゆっくりと…で、お願いいたします。

健やかなニョロニョロ生活を☆彡

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